あなたの言葉の杜切れ間を。

日々のことを綴ったチラシの裏。

ぽつ ぽつ ぽつ ぽつ
一定のリズムを刻む雨音も今では大分小さくゆっくりになった。
こんな時間まで眠れずに、でも眠らなければ、とただただ布団の中で丸まっているだけの時間はなんか寂しいと感じた。
段々と窓の向こうが明るくなって、遮光性の低い我が家のカーテンが徐々に徐々にと光を透かしていく。鳥が鳴いている。


人間、生きていれば出会いも別れもあるはずだ。私はつい先日、好意を寄せていた人に別れを告げた。別段気まずい雰囲気になるでもなく、涙の別れになるでもなく、極めてお互いの為になる別れをしたはずだった。なのにどうしたことか、私の心はゆらゆらと、まるで水面に浮かぶ花びらの様に不安定な状態にある。波風を立てればきっと、暗い、暗い底に沈んで腐ってしまう。
と言うのも、昨日その人のお母様にお会いしたからだ。突然会えないか、と言われ時間が時間だったのでレストランで食事をとりながら他愛のない世間話をしていたら、本当の娘になってほしかったのにな、と言われたのだ。
あの子に不満があるなら今までの様に話し合いでも喧嘩でもすればいいじゃない。先のことに不安があるならみんなで協力しあえばいいじゃない。あなたとあの子なら上手くいってたじゃない。
そう言われて揺れてしまった。ああ、こんなにも私達を見守ってくれていたなんて。
関係が拗れた訳でも嫌いになった訳でもなかった、でも、互いの目標に向かって歩む為に自分だけに時間を費やそう、そして互いがそれに余裕が持てたら再び会おうと不確かな約束をしたんだ。不確かで不明瞭な約束を。いや、無意識な約束なのかもしれない。


お母様は何度も何度も溜め息を吐かれ、その度に悲しい表情をされていた。
それを見る私の眉間にはきっと小さな皺が寄っていただろう。