あなたの言葉の杜切れ間を。

日々のことを綴ったチラシの裏。

深夜、地震で目を覚ます。目を覚ます、というほど眠りに就いていたわけではなく、ウェーベルンの管弦楽のためのパッサカリア 作品1を聴きながら船を漕いでいた。カタカタ、そんな風に家の中の何かが音を立てた。明かりの点かない室内、手探りで眼鏡を探した刹那、ぐらり、と世界が揺れる。大きい。暗闇の中で瞳を凝らし足元で寝ているはずの猫を見れば既に姿はなく、開いたままだった部屋のドアの向こう、チラリと光る二つの点が見えた。いそいそと明かりを点けてテレビをつければ震度4と国営放送のアナウンサーが言っていた。
最近めっきり地震が増えたせいか、揺れに対して妙な慣れを感じ始めていた。それが良いことなのか悪いことなのかわかるはずもない夏の日。今日も暑い。遠くで祭りの音が聞こえる。